ひつじのブログ

やればできるを、そろそろ自分にわからせたい。

「沈黙ーSILENCEー」が重すぎて寝付きが悪い

こんにちは。さて、映画っていいですね。北朝鮮は6回目の核実験やるし、眞子様のご結婚内定のインタビューはあるし、とにかく慌ただしくニュースには事欠かなかった一日なのですが、とにかく映画。あ、でも眞子様の声、あどけなくて可憐で超かわいいですね。レネー・ゼルヴィガーか眞子様かって感じ(不敬罪で捕まりませんように)。

私、映画館には5月末に上映してた「メッセージ」以来ずっと行けておらず、その点ではちょっと発狂しかけですが、観たいのに上映を見逃した作品もたくさんあったので、自宅でポチって遅まきながらフォローしてます。いや、モバイルムービーという手段ができてよかった。日本に京都があってよかったレベルでよかった。いつもお世話になります。

沈黙 -サイレンス- (字幕版)

沈黙 -サイレンス- (字幕版)

  • Martin Scorsese
  • ドラマ
  • ¥2000

表題の「沈黙ーSILENCEー」、私が観たのは最近のマーティン・スコセッシ監督版です。これ、昭和に制作された日本の監督のバージョンもあるみたい。そっちはまだ観てません。遠藤周作の原作もまだ読んでませんが、映画に感化されて、ちょっとは勉強しないといけないな・・・と思うに至る。

しかし、とんでもない映画を観てしまったなぁ(2時間40分も)、という感想。
以下あらすじ途中まで。多少ネタバレます。

舞台は1640年頃、お上によるキリスト教断絶・隠れキリシタン廃絶・根絶やし運動が真っ直中の長崎。密かに中国経由で日本へ渡ってきたロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)が主人公です。
先にポルトガルから渡って布教してるはずのフェレイラ神父(リーアム・ニーソン)が、長崎の厳しい政策と弾圧により棄教を余儀なくされ、さらに日本に帰化してキリスト教は邪教だという考えに180度方向転換してる・・・という知らせが届き、「誰よりも信心深いフェレイラ神父に限ってそんなことはありえん」と、弟子であるロドリゴ神父ら二人は身の危険を犯し、フェレイラ神父を探すために日本に渡ったという経緯。

密航を手助けするのがキリシタン崩れの日本人、キチジロー(窪塚洋介)で、彼が信用できるか信用できないかが不明すぎる風貌と態度で話を全編かき回すキーパーソンです。神父たちはキチジローの手引きで無事日本には入れますが、予想を遥かに超えるキリシタン弾圧と激しくえげつない(よくこんなの考えつくよなぁと思うような)拷問を目の当たりにして慄きます。ロドリゴ神父は地下生活を続ける日本の信者に布教を施しつつ、レフェイラ神父へつながる手がかりを探しますが、お上の手はそこまで伸びており、ロドリゴ神父は自らの信仰心との戦いに身を投じていく・・・という話です。

題名の「沈黙」というのは、神へ祈っても祈っても、神から答えは返ってこない、聞こえない、という意味合いでの「沈黙」です。
形だけでも(有名な「踏み絵」を踏むみたいに)棄教すれば、自分だけでなく家族や他の信者を苦しみや拷問から救うことができる。しかし信仰と神はそれを許すのか。苦しみや拷問を受けることこそ、神からの祝福を受けるにふさわしいということではないか。しかし他者だけは救いたい。しかし自分が助かることの口実ではないか。・・・という負のスパイラルが渦巻きます。自分の行動が、自分だけでなく他者にも影響する点が苦しみをさらに増大させます。それが一つの大きなテーマを形成しています。


なんか映画を観終えて、史実を勉強したり考えないといけないことが色々あるような気はするんですが、とりあえず圧倒されました。。

アンドリュー・ガーフィールドって新スパイダーマンの人でしょ?すごいな。全然違う役どころに挑戦してきましたね。もともとガエルガルシアベルナルの予定が似たようなところで変わった様子(大人の事情で)。繊細に演じてて、よかったです。見所は窪塚キチジローの過去や奇行とも見える行動、主人公との関わりです。あんまり言うとネタバレになるけど、主人公の環境、心境の変化に伴ってキチジローの見え方がどんどん変わってきます。少し泣きました。
あとリーアム・ニーソンはやっぱり、こういうデリケートな問題を扱う映画がよく似合いますね。「シンドラーのリスト」然り。「ラブ・アクチュアリー」もあったか。「96時間」とか「バットマン」とか、イカつい親父の役柄のアクション満載映画への出演が続いてたし、イメージも最近はアクション俳優で定着してるけど、やっぱ天下のリーアム・ニーソン。さすがだよなぁ。それよりなにより佇まいだけで様になります。着物もよくお似合い。
日本キャスト勢も頑張ってます。キリシタン弾圧のボス井上筑後守イッセー尾形、その配下に浅野忠信(もともと渡辺謙をキャスティング予定だったらしい)、隠れキリシタン小松菜奈加瀬亮。やっぱり英語喋れると世界が広がるよなぁ。

なかなかに重たい話で、救いはあるかないかと言ったら観た人によって異なるかも、なラストなのだけど、でも観て後悔なし。作中のひどい拷問とか色々なことは史実に基づいているのか勉強不足でわからないけど(本当なら同じ日本人が本気でこんなことやったのかよという失望も)、今も昔も、世界の争い事の大きな要因のひとつが宗教に端を発していることには変わりがないですね・・・。佐藤優池上彰的書籍からでも読み始めるかと思ったものです。


【本日の一曲】
ジョン・ケージ4分33秒

4'33''

4'33''