ひつじのブログ

やればできるを、そろそろ自分にわからせたい。

好き好き大好き超愛してる、と言いたかった気もするあの頃、舞城はこの2冊を読むべし

すみません、これ書籍のタイトルです。「好き好き大好き超愛してる」なんて、初めて題名を見たときは度肝抜かれましたよね。花のJK時代に出会った本ですが、そのとき夢中だったボーイフレンドにこのタイトル通りの文言で告白してドン引きされた思い出が・・・ないです、そんなカラフルな経験は私の人生においてなかった。もの悲しい。いや、闇歴史を増やさなかっただけマシなのか。それとも闇でも歴史がある方がマシなのか。

 

ご存知の方も多いでしょうが、「好き好き大好き超愛してる」は舞城王太郎(まいじょうおうたろう)さんの、「愛は祈りだ。僕は祈る。」の書き出しで始まる、訳の判らん怒濤のフィクションです。内容も忘れました。でもタイトルと最初の一文だけは忘れられないんですよね。「愛は祈りだ。僕は祈る。」かぁ、、宗教ちっくですね。教祖か。でもちょっとどころか道徳とはかけ離れたところにある作品だったような。こんなタイトルを本屋の棚で見つけた日には、思わず立ち止まってペラペラとめくってしまいますよね。あれ、単行本買ったけど処分したんだったか、立ち読みで済ませたのかかすら忘れた。ちょっと物忘れが激しいです。

で、舞城さんてここでご紹介するのもアレなんですが(面倒なだけか)、いろいろと有名な覆面作家なんです。福井出身のアラフォー作家。芥川賞の候補になりすぎて、そして受賞できなさすぎてて笑う。「村上春樹ノーベル文学賞、今年も逃したってよ」ていうのとほとんど同じで反射的に笑う。

 

舞城王太郎 - Wikipedia

 

 学歴・職歴は非公表の覆面作家であり、三島由紀夫賞の授賞式にも欠席した。同賞の受賞者で式典に欠席したのは舞城がはじめてである。このことをうけ、モブ・ノリオが『介護入門』で第131回芥川龍之介賞を受賞した際の記者会見で「どうも、舞城王太郎です」と挨拶した(後述の通り、同回の芥川賞では、本人も候補になっている。

 

 

いや感性が尖りすぎてて、あたしゃ初見で(中学生のときどこからともなく回し読みされた高見広春バトル・ロワイアル」読了以降)久しく味わってなかったゾワゾワ感で凍りましたよ。作品もわりと手当たり次第読みました。あくまで個人的な感想で恐縮ですが、結構当たり外れがある印象を持ってます。
わからないんだよなー、文体に振れ幅持たせて読者で実験してるんだろうか?って不要な憶測すらしちゃう。相当頭も良さそうだし、たいがい相当に下品なんだけど、随所にインテリ感が隠せてないし(隠すつもりもないのか)、英語操れる人っぽいし。
スピードというものを文章で感じさせられる、むりやり話(と読者)を前に前にと進ませる文体っていうのはこの人にしかない特徴だと思います。「話の続きが気になって次へ次へと頁をめくらざるを得ない」っていうのとはちょっとニュアンスが違うんです。
あとフォントにも相当こだわりがあるみたいですね。「短編五芒星」なんか5編の短編ぜんぶフォント変えてるもんね。わたしも常々思ってたんですが、フォントって作品の印象相当変えるのに、あんまり世間は頓着してないのかなって。そこに問題提起?というかフォーカスした舞城さんすごい。ただただ感服。

 

舞城さんの作品で個人的におすすめしたいのは、何をおいても以下の2作(先の「短編五芒星」もなかなか好きでしたが)。

 

・「煙か土か食い物

煙か土か食い物 (講談社文庫)


面白いタイトルですよね。いきなりのネタバレ(?)ですが、「人は死んだらどうなるか」のアンサーがタイトルとなってます。煙と土はわかるけど、食い物って・・・ねえ。ここでグロの一面を垣間見ていただけましたでしょうか。舞城作品は、8割がエログロ暴力と擬音語疾走感のオンパレードなのです。それだけじゃなくて、時折心理描写なんかでハッとさせられることがあるから病みつきになるわけですが。あらすじというあらすじは(お勧めのわりに)これも覚えてませんが、軽くスピード感溢れる描写で重いテーマを扱ってる、主人公三郎の家族(=DV父ちゃんと優しい母ちゃん(事件で危篤)、長男一郎・次男二郎・三男三郎・四男四郎の6人家族)という血塗られた呪いと強い絆を描く疾風怒濤のミステリ。主人公がばったばったと人を斬る・・・んじゃなくて、逆に人をサクサク助けるシーンは印象的。主人公は腕のよい医者なのです。面白かった。

 

・短編集「熊の場所

熊の場所 (講談社文庫)


これはかっこいいです、パンクです。収められてるどの作品も尖ってて面白いんですが、舞城作品の中でもメッセージ性が比較的高い。表題作の「熊の場所」とかホント、、うーんと唸らせる。クラスメートが次々と猫を殺してるのに気付いた少年が主人公です。あと「バット男」もそうだけど、なんか得体の知れない、社会に潜む/社会が許容する暴力性みたいのが主題なのかな。いやぁ、現代に生きる我々にぴったりですよ。「ピコーン!」もすごい楽しい。すごい下品だけど楽しい。楽しいけど下品。下品だけど爽やか。文章にも疾走感があります。これはちょっと下品すぎて、心だけは乙女な私の口からは詳細をご紹介できません。ぜひ実際にご確認をば。

舞城さんは映画・アニメ・漫画業も手がけてらっしゃるマルチプレイヤー。今後もご活躍が期待されます。芥川賞を穫るのが早いか、または覆面を取る日が早いか、それとも同時だったりして?・・・目が離せません。

 

【本日の一曲】
広末涼子/大スキ!

大スキ!

大スキ!