ひつじのブログ

やればできるを、そろそろ自分にわからせたい。

村上春樹作品の登場人物の名前に「○○る」が多いのはなぜ?

タイトルでなぜ?とか言っといて、すみません、全然答え出ません。解釈もしません。

気付いたから、ただただ発表したい衝動に駆られただけなんですが、村上さんは男性の登場人物に3文字の「○○る」って名付ける率が非常に高いですね。中長編に限りますが。「1Q84」は天悟くんだがらいきなり当てはまらないけど。

ねじまき鳥クロニクル」の主人公「岡田亨」(トオル)に義兄「綿谷ノボル」、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」なんかはそのまんま「つくる」だし、「騎士団長殺し」のキーパーソンは「免色渉」(めんしきわたる)だし。

そもそも「僕」の一人称語りで主人公の本名さえ明かされない作品が初期は多かったし、登場人物もニックネームとか「彼」とか「彼女」とかで貫き通す作風で、登場人物の本名がきちんと使われ出したのって村上作品でもわりと最近の作品に多い傾向で、この「○○る」率の高さはやっぱ何かあると思うんですよね〜。「○○る」縛りみたいなこだわりがあるのかなあ。・・・いや、きっとただの癖だな。
そもそもねじまき鳥の「ワタヤノボル」って「ねじまき鳥と火曜日の女たち」っていう短編に登場する「ワタナベノボル」を引きずってるんですが、この「ワタナベノボル」は村上さんが若い頃からよく一緒にお仕事してた故・安西水丸師匠の本名を使ってるんですよね。名前付けるの下手っぴか。それがいつしか根元悪の象徴みたいなところにまで昇華されていって、いやはや、とんでもない発展ようです。

村上さんのところ」サイトがやってるときに訊けばよかったなあ。自慢になりますが、実は何通か質問メールを送ったうち、一通だけお返事いただいたんですよね。忘れもしない3月31日の期末決算日。あれはテンション上がったなぁ。返信の件名は「村上ですが」。どうでもいい内容に返事もらったので、もっと文章を練るべきだったか・・・と反省しきりでしたが、間違いなく人生で起きた嬉しいことベストテンに入りますね(今後、ベストテンからめでたく外れるほど私の人生に色んないいことが起きてほしいものですが)

村上春樹はもう好きとか嫌いとか公言するのが憚られるほど「世界のムラカミ」感がありますが、でも大作家でも国内にアンチも多くて、面白い社会現象ですよね。わたしも高校生のときに「ねじまき鳥」と出会った衝撃から、延々と飽きることなく読み続けてますが、ちょっと苦手って言う人の気持ちもよくわかります。むしろその方が納得します。
いわゆる厨二病ぽくて言葉にするのは恥ずかしいんだけど、「この世界観がしっくりくる人ってちょっと独特な感性の持ち主なんだろうな、万人受けする作風ではないな。でも私個人的にはものすごく合う」っていう感覚を抱くので、これがどの本屋でも一番売れているという事実が、一方では不思議な気がするというのが正直な感想なんです。そういう心境から、ムラカミファンを公言出来ない人もわりと多いらしい(そして彼らを「村上主義者」と呼ぶらしい。村上春樹公認の呼び名です。一方、「ハルキスト」は本人が嫌がってますね・・・軟派な感じがするとのこと)。後にも先にもこういう作家さんにはもう出会えないかもなぁ。村上さんの作品をリアルタイムで読めて幸せだな〜って思います。あ、でもしつこいけど、アンチの気持ちもわかるよ。

 

【本日の一曲】
ベートーヴェンピアノ三重奏曲第7番「大公」

ピアノ三重奏曲 第7番《大公》 ~第1楽章

ピアノ三重奏曲 第7番《大公》 ~第1楽章

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