ひつじのブログ

やればできるを、そろそろ自分にわからせたい。

フィラデルフィア美術館展の話

 このフィラデルフィア美術館展は一生忘れられないかも。

不肖ワタクシ足繁く、のべ60日間もの期間、通いました。ちょっと昔に京都市立美術館でやってたやつです。あれ、国立美術館だったっけ?まあどっちでもいいや。とにかく飽きもせず、毎日毎日、美術館に通い詰めたんですね。

お題「印象に残っている展覧会」

…っていうのは、あれです。展覧会の監視員スタッフとして、10年ほど前にアルバイトしてたという話です。

この短期アルバイトはいろいろバイトやった経験の中でもすごく印象に残ってて、なかなか貴重な経験だったなと。

展示品は百数十点あったと記憶してます。ロダンシャガール、マネモネピカソゴッホと、その他にもいろいろ有名な作品が来てました。

仕事内容はとにかく毎日、開館前から美術館に入って、トランシーバー付けて見回りしたり、ちょっと怪しい動きのお客さんがいたら動向を上に報告したり、作品に触ろうとする人をやんわり注意したり…っていうお仕事でした。地味だけど面白かったなーー。なんといっても人のいないフロアで作品の間近にいられる瞬間というのはなかなか得難い体験です。静謐な空間で作品を独り占めしてる気分になれて幸せでした。土日祝の混んでる日とか立ちっぱなしで結構な肉体労働だったんだけど。

そこで個人的に忘れられない衝撃的な事件があったのですが、館内での飲食は飴やガムなんかも禁止されているので、もし口をもごもごさせてる人がいたら、ティッシュを渡して「すみませんがこれに・・・」とお願いして出してもらうことになっていたんですね。
で、若いカップルの片割れがガムを噛みながら入場して作品を鑑賞していたのに気が付いたので、いつものようにティッシュを差し出して「すみませんがこれに・・・」と低姿勢でお願いしたら、「あーはいはい、すみませーん」と、なんと口から取り出したガムを私の手のひら(ティッシュ越しですが)にポイっと置かれたんです!!なんとびっくり。あとにもさきにもこんなびっくり屈辱的な出来事って・・・まあ考えたら他にもいろいろあるかもしれないけど、あまりにびっくりして、私とっさに「ご協力ありがとうございます!!」って叫ぶように言っちゃった思い出があります。

ありがとうございますって、アンタ。
思い出して相手にも自分にもなんかむかついてきたな。まあそんなのも今となっては楽しい笑い話ですが。

バイト仲間にはいろんな人が30人か40人くらいいたかな、シフト制でしたけど、大きく分けて美大生とか、絵描きや陶芸家なんか目指してフリーターやってる子とか(「今度展覧会開くからぜひ来てよ」みたいな会話が結構飛び交ってた)、私みたいにちょっとだけアートに興味がある程度の普通の学生とかの20代~30代組と、常連さんて感じのしゃきしゃきしたシニア組がいましたね。あー懐かしい。

美術館という場所に集まる連中だけあって、みんな独自の感性持って毎日アンテナ張って過ごしてる印象がありましたね。そこで仲良くなった男の子と「GATACA」の話で盛り上がって、舞城王太郎とか教えてもらったんだった。淡い青春です。まあ舞城が青春かっちゅーとちょっと下品に過ぎるんだけど(今でも好きでよく読みますが笑)。 

 一番後悔してるのは、そのときの図録を買わなかったこと!!社割で少し安く買えたのに、貧乏学生で他に資金使途があった私は、図録の値段を時給換算してしまい、泣く泣く断念しました。あれが手許にあったらもっと鮮明に記憶がよみがえるのになー。まあ今でも手に入れられないことはないと思うが。まあ買ってたら買ってたで、すでに自炊してる気もするが。

もし美術館スタッフのバイトの話があって迷われている方には、ぜひ一度はお勧めします。そんな都合よく誰も見てくれるとは思わないけど笑、私にとってはとてもいい思い出なのです。つらつらと昔話でごめんね、おしまい。

 

【本日の一曲】

エディット・ピアフ/水に流して